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 NHK「ETV2001」改変事件の真相究明を、BPOの放送倫理検証委員会に取り組んでもらおうという署名運動が始まりました。
 次の委員会の会合が迫っているので、その前に集約をするということで、期限は10月8日です。


 BPO放送倫理検証委員会 御中

 NHK「ETV2001」改変事件の真相究明へ向けて、貴委員会の取り組みを要請します。

                              2008年10月8日
                                署名者一同

 放送倫理の向上に向けての貴委員会の日頃のご努力に敬意を表します。
 ご承知のように、今年6月、最高裁は、NHKの番組、「ETV2001・戦争をどう裁くか・問われる戦時性暴力」をめぐって争われていた裁判で、NHK勝訴の判決を下し、7年間に渉った裁判は幕を閉じました。
 民事訴訟としての裁判は終わりましたが、この事件については、このまま終わらせてはならない放送倫理上の問題が未解決のまま大きく残されています。
 私たちは、以下の理由から、貴委員会が、可能な権限を行使して、この問題の倫理的解明に取り組まれ、必要な措置をとられるよう要請します。
1、 2007年1月、第二審の東京高裁判決は、この番組の編集過程を、「NHK幹部が国会議員の発言を重く受け止め、その意図を忖度してできるだけ当たり障りのないような番組にするために改編した」、と認定し、このような行為は「憲法で尊重され保障された編集の権限を濫用し、又は逸脱したものと言わざるを得ない」と批判しました。
最高裁判決はこの事実認定には立ち入っていませんので、東京高裁の判断は変更されないまま、現在に至っているといえます。
これに対し、NHKの公式見解は、基本的に、「政治家の圧力はなかった、当該番組の編集は自主的なものだった」というものです。
東京高裁とNHKの判断が真っ向から対立しているこのような事態は、公共放送を標榜するNHKのあり方を考えるうえで、到底そのままにして済ませられるものではないと考えます。

2、 NHKは「政治家の圧力」を認めていませんが、東京高裁の法廷では、当該番組の制作当時、政治家の圧力、干渉があったことを示唆する現場担当者の証言がいくつもあります。
たとえば、幹部が、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」編さんの書籍の中の政治家の名前を示して「言ってきているのはこの人たち」と言い、また放送当日の大幅な削除の際、「自民党は甘くなかった」と発言したという証言、また、2005年に朝日新聞が政治家の介入を報じたあと、「安倍官房副長官へは、呼ばれたのではなくこちらから行ったことにしよう」と「口裏合わせ」をしたことを聞いた、などという証言はいずれも重大です。しかしこれらの証言について、NHKは充分な説明をしていません。

3、 政治家の圧力、介入を強く疑わせるもう一つの状況は、通常とはちがう、きわだって異常な制作過程に現れています。現場が準備した番組を、ふだんは番組制作にかかわりがない放送総局長や政治家対応を担当する幹部が、安倍晋三議員に当該番組の説明を行なった後、現場担当者の激しい抵抗を押し切って、問答無用の削除や改変を命じました。
政治家の意向を直接受ける立場の幹部が、現場のプロデューサーに直接削除や改変を命じるという異様な事態も起こりました。このような異例の制作過程の中で、現場制作者の思想信条の自由が不当に侵害された疑いがあります。
放送法は、その目的に「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」という文言を掲げています。幹部が政権政党の政治家の圧力を受け入れたとすれば、NHKの行為は、この放送法の精神に違背し、放送倫理に反する重大なものであったことになります。

4、当該番組の内容についても、放送倫理上の検証が行なわれないまま現在に至っています。
 重大な問題は、放送内容に虚偽や不当な削除が含まれ、視聴者に、取材対象の「女性国際戦犯法廷」(以下「女性法廷」という)が公正なものではないとの誤解を生んだ疑いがあることです。 
たとえば、当初の編集では、法廷がアミカスキュリエ(法廷助言者)を置いて、被告の権利を主張して弁論したことを伝えていましたが、放送ではこれを削除して、女性法廷には弁護人がいないと指摘し、法廷に問題がある、と主張する識者の声を採用しました。
また、現場の編集では存在していた判決の場面が削除されたため、当時も性奴隷制が国際慣習法上禁止されていた、とする判決理由が伝えられず、代わりに同じ識者の、「慰安婦についていうと、売春は合法的に認めた存在で、商行為」であるという主張を放送しました。
このように、取材対象である女性法廷と、「慰安婦」制度について事実を歪曲した内容が放送された疑いが強いと私たちは考えています。
 とくに、上記識者のインタビューは、放送直前に後から追加されたため、原告バウネットも、スタジオの出演者も反論できない状態に置かれました。出演者の米山リサ氏は、この点を含め、発言の本質的部分を削除されたとしてBRCに申し立てを行いました。
2003年3月、BRCは、米山リサ氏の発言の編集について、放送倫理違反とする見解を出されました。裁判で係争中という状況が消滅した今、米山氏のケースにとどまらず、番組内容や、その編集過程全体についても、あらためて厳しい検証が必要だと考えます。

5、「政治家の意図を忖度した」という行為が反省されず、またこの番組について、現場制作者が身をもって訴えた事実が闇に葬られるようなことがあれば、NHKの現場のモラルにもはかり知れない悪影響を与えます。NHK内の現場制作者は、今後も同じことが起こるのではないか、と懸念を抱き、自己規制を余儀なくされるのではないでしょうか。
当該番組の放送以後7年間、従軍「慰安婦」に関する番組がNHKではまったく放送されていないことは、その懸念を裏付けるものです。

 以上の理由から 貴委員会に、この番組「ETV2001・問われる戦時性暴力」を「審理」の対象番組として取り上げていただき、「政治圧力によるものではない」というNHKの主張が真実であるかどうか、番組に虚偽が含まれていないかどうか、調査、検証を行なっていただくよう要請するものです。そのうえで、NHKに対し「見解」や「勧告」を公表するなどの措置をとられるよう希望します。
私たちは、NHKが政治家の圧力に屈するような放送機関であってはならない、という思いから、以上のような要請を行なうことにしました。ぜひこの「ETV2001事件」について、大局的見地から検討し、必要な措置をとっていただくよう重ねてお願いするものです。
【賛同者・賛同団体】(第一次集約分)    

  賛同者の登録連絡先は、放送を語る会 小滝一志事務局長
                           kkotaki@h4.dion.ne.jp
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