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原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会 共同代表の呉東正彦弁護士のインタビューをここに掲載しておきます。(JCJ機関紙08年3月号掲載)
地震被災も恐い、浮かぶ〝原発〟
米軍に都合の良い言い分を鵜呑み
空母配備の是非で民意を問え! 今年8月に米海軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」が横須賀に配備されようとしている。空母を停泊させるためには港を浚渫する必要があるが、その工事による環境汚染が懸念され、また原子力空母の母港化による放射能事故の危険性への不安も高まっている。2月末日、市民による浚渫工事差し止めの仮処分申立は横浜地裁横須賀支部で却下された。いま住民たちは空母配備の是非を問う住民投票条例を直接請求する運動を展開中だ(4月6日まで)。一昨年末の同趣旨の署名は、有効署名数3万7858名を集めた。市議会では否決されたが、住民自治を求める市民の運動は広がっている。運動を進める市民団体の代表、呉東正彦さんに聞いた。
アメリカの原子力艦船は頻繁に事故を起しています。米海軍は事故そのものを一切認めていませんが、仮処分の申立書に情報公開や内部告発、報道などで明らかになった事故例を列挙しました。
しかし裁判所は危険性の証明が不十分だと言います。
陸上の原子力発電所の場合、設置を認めるか、緊急時に停止させるかなどを含め、国が強力な審査権限を持っています。
ところが原子力空母の場合は、一切の情報は公開しないと、米軍は日本政府に通告しています。
日本の主権が及ばず、政府のコントロールがきかない原子炉が日本の中枢である首都圏に置かれることになります。
しかし裁判所は、差止めを認めるまでの危険性は証明されていないとの理由で申請を却下しました。
昨年、柏崎原発が被災したことから、震災被害も心配されていますね。 空母の原子炉は最終的には海水を取水して冷却しています。大規模地震で津波が発生する場合、直前に引き潮が起こり海水が後退する。
また横須賀は関東大震災時に2メートルも隆起しました。海底が隆起して水深が浅くなり、取水が困難になることが予想されます。
柏崎原発でも問題になりましたが、原子炉は停止した後でも崩壊熱が発生しています。
外部電源で冷却し続けないと炉心溶融してしまう。このバックアップのガス発電が基地内に設置されますが、その施設に耐震性があるのかどうかも非公開です。
国側の主張は? 審理の過程で国に何を根拠に安全性を確認したのかを示す文書を請求しました。しかし国が提出したのは米軍が作成したファクトシートだけ。米軍が安全と言っているから安全だというに過ぎません。
原発をめぐる行政裁判では、ある程度は国に立証責任を課すこともあります。それを引いて米軍の資料を求めうるのは国なのだから、国側に立証責任があると主張しましたが、認められませんでした。
浚渫工事の影響で、奇形のハゼが多数見つかるなど重金属等による環境被害も主張しましたが、これも浚渫工事との関係が明白ではないとしてしりぞけられました。
再度の住民請求署名運動が始まりましたね。 岩国市では住民投票条例がすでにあり、市長の発議で住民投票が実施されました。横須賀市の場合、住民投票条例は検討されていましたが、制定されていません。
市長も最初は原子力空母の安全性に不安があり説明を求めるとしていたのですが、容認に転じてからは姿勢を後退させています。米軍を信じると言っていますが、原発に喩えれば電力会社の言うことを鵜呑みにするのと同じです。
そこで私たちは、もう一度住民投票条例を直接請求する運動を始めました。
住民投票条例は様々な課題を問う住民投票の実施を定める常設型のものと、単独の課題の住民投票を行うものとに分かれます。
前回は原子力空母配備の是非を決める住民投票条例を求めました。
今回は更に、安全対策への市の強い姿勢を求めることを加えました。
市が05年に認めた港の整備工事は通常型空母を前提としています。原子力空母配備となれば、横須賀市は再度の協議を国に求める条件をつけて許可されたのですが、それがなされないままになっています。また住民投票の結果を背景に、今回の請求では国の言うことを鵜呑みにする姿勢から、積極的に安全対策を求め住民を守る姿勢に転換することを要求しています。
地元の神奈川新聞、tvkや全国紙も地方版では取り上げられていますが、報道は少ないように思います。 神奈川県庁で記者会見しても、取り上げられるのは地方版にとどまりますね。ローカルニュースの壁を超えられない。
いったん事故が起これば首都圏で100万人以上の犠牲者が出ると想定されています。浜岡原発よりもずっと東京に近いところに原子炉が置かれるのですが、その問題性がまだ中央のメディアには十分伝わっていないようです。
市民の関心は高まっています。米軍基地の問題というより自分の街に正体の見えない原発ができると受け止められているので、若い人や女性にも署名が広がっています。
また、住民投票を求める運動では、そもそも原子力空母配備に賛成でも反対でも、国の言うことを丸呑みするのではなく、自分たちのことは自分たちで決めるべきだという点も訴えています。
空母配備反対以上の割合で住民投票は必要だとするアンケートの数字も出ています。運動の広がりにはそうした自治意識の広がりがあると思います。 聞き手=保坂義久
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