JCJ神奈川支部の機関紙「JCJ神奈川」30号(2015年12月25日付)から再録します。
副読本「わかるヨコハマ」改変回収問題
図書館閲覧も制限
12月6日、かながわ県民センターで開かれた「わかるヨコハマ」の改変・回収を考える集いに参加した。主催は歴史を学ぶ市民の会。50人以上入る会場は満席だった。
「わかるヨコハマ」は中学1年の社会で使用する横浜市の副読本で、個人配布されてきた。2012年6月に内容を問題視する産経新聞記事が掲載され、7月には市議会で横山正人議員(自民党)が、12年版の副読本の記述について質問した。質問は関東大震災時に「軍隊や警察が虐殺した」という表現を難じ、改訂の手続きも不備とするものだ。
それに対し山田巧教育長は、当該部分は誤解を招く表現として改訂を表明、12年度版は回収することを約束した。
その後、横浜市は回収だけでなく市民情報センターや市立図書館での市民の閲覧も制限するなど過剰な反応をしている。
問題の経過を説明した後藤周氏は、現在の中学校歴史教科書でも、軍隊・警察が虐殺したという表現のものがあることを指摘。そのうえで関東大震災での迫害・虐殺を教えられず、反省できなかった少年たちが成長し、日本はアジア太平洋戦争を起こす国になっていったと、教育の重要性を語った。
改訂された2013年では、「軍隊や警察」の語は除かれ、久保山墓地にある朝鮮人殉難者の慰霊碑の写真も差し替えられている。
集いの後半は神奈川新聞の石橋学記者の講演。
石橋記者は新人として阪神淡路大震災の取材からスタートしたという。震災で大きな被害に遭ったのは低所得の地域で、災害は弱者を直撃すると感じたという。
川崎支局やベイスターズ担当も経験し、2013年からは報道部デスクとして川崎版と特報面を担当している。
石橋氏が特に力を込めて語ったのは、在特会などの団体が横行している状況の危うさ。在特会のデモを特殊な人たちの行動と見るのは間違いだと石橋さんは語った。 保坂義久

久保山墓地の関東大震災殉難朝鮮人慰霊之碑